理学部・大学院HOME > 学部 > 数物科学科

数物科学科

数学と物理学の素養を持つ、理系女性人材の育成

photo

 私たちを取りまく状況は、人間社会、自然界、そして科学技術の分野など、様々な側面で日々変化を続けています。例えば、社会のグローバル化、価値観の多様化などが挙げられます。そして、低炭素社会の早期実現の必要性、エネルギーシステム等の社会活動の基盤となる社会システムへの要求の高度化、地球規模の環境情報や局地気候変動情報の必要性等、様々な新しい課題に私たちは直面しています。このような変動の時代においては、様々な状況変化に対応できる、広い視野と多様な価値観を持った人材育成が急務となります。また、新しい課題を解決するために必要となる、革新的なコンセプトの提唱や新技術領域を拓く「力」は、自然科学の基礎を確実に習得することで蓄えられていきます。その中でも、数学と物理学は、論理と自然法則の根幹部分を対象とする学問です。そこで、上記のような状況に対応でき、また、基礎科学の継承とその発展を担うことができる、数学と物理学の素養を持つ女性を育成するために、数学科と物理科学科および情報科学科の教育分野を統合して、数物科学科を作り、物理学コース、数学コース、数物連携コースの3つのコースを設けました。



なぜ、数学と物理学か

 数学の歴史は古く、紀元前数万年まで遡り、古代エジプトでは既にピタゴラスの定理が知られていました。一方、物理学は、もともと数学との区別がついておらず、運動の三法則や万有引力の発見で有名な物理学者のニュートンも、微積分の発見などにより傑出した数学者ともみなされています。そして今日に至るまで、数学と物理は密接に関係しながら発展してきました。さらに1990年代以降は、社会学、経済学など自然科学以外の分野で、数学や物理学との関わりが強く深化しています。新しい時代を担う学生の皆さんが、より広い視野をもって総合的に問題を解決する力を蓄えることができるよう、数物科学科では、今この変動する時代に改めて、数学と物理学を専攻とする教員が連携して教育を行います。

photo

数学、物理学のヒロイン、ヒーロー達

左:ソフィア・コワレフスカヤ …女性数学者。ドイツの大数学者ワイエルシュトラースの愛弟子。微分方程式における、「コーシー = コワレフスカヤの定理」や、「コワレフスカヤの独楽(コマ)」でも有名。
中:アルベルト・アインシュタイン …物理学者。特殊、一般相対性理論などの提唱により物理学に革命を起こした。カーナビ等に不可欠なGPSに使われている一般相対性理論は、リーマン幾何学という数学の理論で記述されている。
右:リチャード・ファインマン …物理学者。量子電磁力学の確立等の他、従来と全く異なる、量子力学の原理を用いた量子コンピュータを提案し、計算科学の新しいパラダイムを創った。



学科の特徴

★養成する人材像 −高度な科学的課題探求能力をもつ理系女子の人材育成−

 現代の変動する時代においては、これまでにはなかった問題が生じます。それらを解決できる人材を養成するために、数学コースと物理学コースだけでなく、数物連携コースを設け、既成の固定した自然科学分類にとらわれることなく、数学と物理学の教員が連携して教育を行う新しいカリキュラムを実施します。絶えず変動する現代社会の諸現象に対して、柔軟にかつ論理的に取り組み解決する能力を持つ理系女子を養成します。コース別に養成する女性人材は、次のようになっています。

  • 数学コース
     抽象的で創造的な学問研究による、柔軟な思考力をもった人材。論理的な問題発掘および展開能力により、科学分野のみならず文化・教育分野に貢献できる人材。
  • 物理学コース
     実験的及び理論的学問研究による、高度な問題解決能力を備える人材。創造的に課題を探求し、高度化した科学技術のさまざまな分野で貢献できる人材。
  • 数物連携コース
     数学および物理学の理論的学問研究による、幅広い問題解決能力を有する人材。次世代の人材育成、科学技術システムの改革、豊かな科学文化の普及や創造に貢献できる人材。

★カリキュラムの特徴 −2回生からのコース配属等−

 上で記したように、数学と物理学は密接に関係していますが、皆さんにとっても、自分が数学と物理のどちらに興味がありまた適性があるかは、大学での講義を受けてはじめて分かるケースが少なくないと思います。そこで、皆さんが真にやりたい学問を入学後1年かけてじっくり見定め、2回生から本格的に専門のコースに進むという体制をとっています。1回生では、数物科学科の学生として、主として数学と物理学の講義や演習、実験などを選択して受講し、数学、物理学の基礎を学びます。2回生になるときに、数学コース、物理学コース、数物連携コースのいずれかのコースに各自の希望に応じて所属する事になります。2、3、4回生では、より専門的な講義を受講し、専門知識の習得だけでなく、数学や物理学の方法論を学びます。また4回生で卒業研究に取り組み、研究の最先端を体験します。特に、数物連携コースにおいては、数学と物理の教員が各々の専門性を保ちつつ、連携して教育と研究指導を行います。

photo



卒業後の進路 −理系女子育成の豊富な実績−

 平成24年度までの数学科、物理科学科における進路は、大学院進学、教職、企業への就職が主です。進学、就職を合わせると、ほぼ100%となります。例えば、平成24年度の数学科と物理科学科をあわせた卒業生の進路については、以下のようになっています。(「進路・就職先」をクリックして詳細をご覧ください。)卒業者は72人、大学院進学者が43人で全体の60%、その他の進学が1人です。就職希望者数は27人で、そのうち教員3人、官公庁1人、企業等21人の計25人が就職しており、これは、就職希望者の93%となっています。他の年度もほぼ同様です。

 特に、大学院進学者は、学部卒業生の約半分を占めています。また、例えば、平成22年度において、物理学で修士の学位を取得した国立大学の女子の約16%は、当大学院の修了生であり、理系女子人材の育成に貢献しています。また、数学で修士の学位を取得した学生の多くは、教職についています。
 新学科においても、より高度な専門的知識及び方法論を習得するために、大学院進学を推奨します。

 一方、就職に関しては、これまでの職種は、システムエンジニアなどIT関連の職種、電気メーカ−技術者、官公庁・教職関係などですが、更に新たな進路として、インターネット社会で続々と発表される新製品と物理的機器を繋ぐシステム開発者等が挙げられます。

関連ページ→ 進路・就職先