生活環境学部・前田純夫准教授のグループが「細菌細胞の抗生物質耐性の記憶現象」に関する新規発見を行いました(6月26日)

 本学研究院生活環境科学系・食物栄養学領域・前田純夫准教授と大学院生の研究グループが「細菌細胞の抗生物質耐性の記憶現象」について新規発見を行いました。

 本研究は、細菌(バクテリア)が、パーシスター細胞という一時的な抗生物質耐性細胞の状態あるいは経験を、その誘導要因(コロニーバイオフィルム培養)が無くなっても、数日から一ヶ月もの長期間、記憶保持できる、という新現象を発見したものです。

 本研究の成果は、2018年6月26日に国際学術誌「Frontiers in Microbiology」オンライン版にて論文発表されました。またこの成果は、2018年7月16日に日本経済新聞に記事として掲載されました。この成果を含む関連研究については、2018年9月にドイツで開催される国際学会FoodMicro2018において論文著者の一人である大学院生が発表を行う予定です。

論文タイトル:Bacterial memory of persisters : Bacterial persister cells can retain their phenotype for days or weeks after withdrawal from colony–biofilm culture.
(和訳) バクテリアのパーシスター細胞*1の記憶:バクテリアのパーシスター細胞は(その誘導要因である) コロニーバイオフィルム*2培養を解消した後も、数日から数週間にわたって、その表現型を保持できる
   *1パーシスター細胞(あるいは単にパーシスター):一時的に抗生物質耐性化した細胞
   *2コロニーバイオフィルム:気体に接する固体表面に形成される細菌細胞の集合体
掲載誌:Frontiers in Microbiology
著者:Saki Miyaue, Erika Suzuki, Yoko Komiyama, Yu Kondo, Miki Morikawa, Sumio Maeda
論文URL:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmicb.2018.01396/full(全文公開、PDF無料)
     
https://doi.org/10.3389/fmicb.2018.01396

論文の筆頭同等著者の一人として本研究を行い、本年9月に国際学会FoodMicro2018において研究発表(本学国際学術交流奨励事業・国際学会発表採択)を行う予定の小宮山瑶子さん(大学院人間文化研究科 博士前期課程食物栄養学専攻2回生)