令和2年度入学者の入学宣誓式を挙行しました


 











  文学部156名、理学部161名、生活環境学部182名、3年次編入学生22名、合計521名の昨年度新入生の皆さん、編入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。奈良女子大学の教職員一同は皆さまのご入学を心より歓迎いたします。
  昨年の入学式は新型コロナウイルスの影響で中止としました。今年は、体温を測る、3密を避ける、換気をするなどの学内措置を徹底しましたので、入学式を先ほど行いました。また皆さんは1年遅れの入学式となります。ご理解をお願いいたします。
  ご存知のように、本学には文学部、理学部、そして生活環境学部があります。さらに大学院の修士コースと博士コースがあります。今や皆さんの同世代の半数が4年制大学を卒業しますので、高度な専門家を目指す場合は修士課程を修了することが必要になります。2回生になったばかりですが、人生の大きな選択ですので大学院進学を是非考えてください。本学では既に学部4年と大学院2年の6年一貫教育制度を利用できるようにしています。是非その活用を頭に入れておいてください。
  さて、文学部の認識方法は「世の中を言葉で切り取る」ことです。理学部の認識方法は「世の中を数式あるいは実験というモデルで切り取る」ことです。生活環境学部の認識方法は「世の中を生活の必要性で切り取る」ことです。SDGsで明らかになっていますが、多くの人類が今となっては狭い地球で幸せに生きていくために、これらの3学部の認識方法がそれぞれ必要です。各分野独自の方法を大学でマスターした人間が成長し幸福を勝ち取ることができます。この知恵こそ大学で学ぶことです。
  これら専門的な学びと平行して必要なのが、教養です。グローバル人材ということが盛んに言われていますが、文化や言葉の違う人々を同僚として、同じ会社で働くことを想像してください。語学特に英語の必要性は無論ですが、話す内容を持つこと、お互いの意見を理解しあうことがより重要になります。そのためには、しっかり考え、しっかり語ること、それが重要で、そのことを「教養」と呼んでいます。是非高い教養を身につけてください。このため、本学では小ゼミ、パサージュを開講して皆さんを鍛えています。
  もちろんコミュニケーションツールである英語は重要です。英語教育の実効性を高める目的で、学部を越えた能力別クラス分けを行っています。有効に活用して下さい。さらにQQ Englishなど英語耳を鍛え皆さんの留学を支援する仕組みを作っていますので、これも活用してください。
  教養という言葉はリベラルアーツから来ています。リベラルアーツの本来の意味は奴隷にならず自由に生き抜くための知恵です。皆さんは文字を通してお互いにコミュニケーションを取っているのですが、これは当たり前のことではありませんでした。今から200年前の1818年生まれのフレディリック・ダグラスさんの話は有名です。アメリカの元奴隷だった方ですが、南北戦争以前のアメリカ合衆国南部では、奴隷に「読み書き」を教えた白人は厳しく罰せられました。ある日、フレディリックは「白人は文字を扱っている」ことに気が付きました。今までは単なる模様と思っていたのが、言葉に対応する文字であることに気が付きます。読み書きは白人と奴隷を区別し、能力に差をつける道具だったのです。
  さて、皆さんの1年間の学生生活はいかがでしたか。オンライン授業やオンデマンド授業、そして対面授業と戸惑いも多かったのではないでしょうか。また、サークル活動ができなかったり、友人を作ることが難しかったり、ご苦労があったと聞いています。 戸惑ったのは教職員も同じでした。急場をしのぐために、すぐに大学の中に緊急学生生活支援特定基金を作り、生協弁当を半額で提供する、Wi-Fi機器を貸し出すなどの支援をしました。困ったときはお互い様という考え方で動きました。
  最後になりますが、私たち教職員は皆さんの成長と活躍が大きな喜びです。この奈良の地で学んだことを、生涯の宝として育ててください。皆さんの前にある実り多い学生生活を祈念してお祝いの言葉といたします。

令和3年4月4日 奈良女子大学長 今岡春樹