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奈良女子大学DX推進計画

はじめに

コロナ禍において、奈良女子大学では、遠隔授業にも対応した学修者中心の環境づくりを進めてきました。対面?オンライン?オンデマンドといった多様な授業形態に対応し、学生と教員がコミュニケーションを取るために学習管理システム(LMS)の機能強化が必須となったことを契機として、全学横断的な「奈良女子大学DX推進チーム」を立ち上げ、「奈良女子大学DX推進計画」を策定しました。

奈良女子大学DX推進計画

【目標】

コロナ禍およびポストコロナ時代において、デジタル技術を取り入れたキャンパスを構築して教育?研究内容をさらに充実させ、社会に開かれた大学を目指して、本学は以下を目標としてデジタル?トランスフォーメーション(DX)を推進する。これらの目標を達成し、その成果を社会に向けて積極的に発信することで、本学はデジタル社会の実現に貢献する。

【教育】学修者一人ひとりのニーズに合った高い質の学びを提供するための環境整備
教育面では、LMSを最大限活用し、学務情報システムと連携させ、シラバス掲載から履修登録、履修履歴、課題?レポート提出、成績管理、動画を含む授業配信?アーカイブ等まで、一元的に蓄積?管理?運用できるようにし、多様な背景やライフスタイルを持った学修者が主体?中心となる学修環境を整える。

DX重点取組事項

推進計画の目標を達成するため、以下を重点取組事項としてDXを推進します。

【DX推進体制の構築】

学長をトップとし、担当副学長が指揮をとる全学的マネジメント体制の構築(図参照)

学長とDX推進チームが検討指示と回答をやり取りする。DX推進チームのコアメンバーは、情報担当副学長(CIO補佐?CSIRT委員長)、情報系職員(CSIRT委員)、情報系職員(CIO補佐?CSIRT委員)、教員(CSIRT委員)。その下に情報系職員(CSIRT委員)と案件ごとに協力する管理運営系職員。管理運営で連携しているCSIRT(情報セキュリティに対応)。情報系職員(CIO補佐?CSIRT委員)、教員(CSIRT委員)と案件ごとに協力するのは教員、教務系職員。情報系職員と教育で連携するのは教育計画室(教育に係る方針について審議)。教員と研究で連携するのは奈良女子大学情報システム部会(情報システム運用について審議)。

【教育の高度化】

反転学習?課題解決型学習などを含む学修者のアウトプットを支援する情報環境、場所を選ばない学修環境の整備

【大学の情報システム間のデータ連携?蓄積】

可能な限り、入試?広報?学務?就職?財務?人事等の部門間(将来的には大学間)をまたぐ様々なデータを活用する基盤の構築

【セキュリティ対策の徹底】

遠隔授業や研究においても安心?安全な情報環境の実現

【デジタル人材の育成】

DX専門職の配置による、教職員の研修の促進およびデジタル人材の輩出

法人統合と情報の一元管理

令和4年4月に奈良女子大学は奈良教育大学と法人統合を行い、また奈良女子大学では工学部を設置します。この大きな変化をむしろDX推進の僥倖と捉え、法人統合では業務の共通化を行います。代表的なものは人事と財務システムで、それらを大学間で統合する必要があります。また、新学部設置や、両大学における教養教育の一部共通化をスムーズに進めるために、大学をまたがる教務事務の効率化や学生の利便性を考慮した教務システムの構築も必要です。

また、法人統合に伴い、法人本部と二つの大学という三角形型の組織が生まれます。これは国立大学では新しい形であり、法人本部は経営を、大学は教育?研究を執行することになります。このような組織の経営を行うには情報の一元管理が必須です。このことは一朝一夕でできることではないです。法人の戦略と学内センターや室組織の取り組みを連動させるため、法人本部に置かれる「経営戦略部門」が、蓄積された大学の情報を分析し、適切に活用することにより、経営戦略や事業展開に反映させる仕組みなどを検討しています。

【学内の情報流動?利活用に関する将来イメージ】法人本部経営戦略部門 経営戦略室(仮称)の企画戦略部門、IR部門が蓄積された大学の情報を分析、活用、事業?経営戦略に反映させる。各種調査?アンケート(学内?学外)、研究業績(研究者?学生)、事業?業務成果(部局など)の各業務システムで運用?蓄積された情報収集し、解析?分析したものを次の事業へ反映させる。例えば国際交流センターと各事業で得た成果?結果などを集約して国際交流を行う。社会連携センターとは各目的に合わせ分析した結果などをお互いに提供して社会貢献を行う。その他、教育計画室とは教育に関わる企画?計画。アドミッションセンターとは入試戦略。広報企画室とは広報戦略。研究企画室とは研究戦略?外部資金獲得支援をやり取りする。情報基盤としては、セキュアな情報インフラ基盤を構築?管理する。情報セキュリティ強化をはかり、DX、Plus-DXを支える。

思考のトランスフォーメーション

DX推進で目指すものには、画一的な業務においては、職員全員が同様の方法で業務を行い、なるべくばらつきのない結果?成果が出せること、手順をよりシンプルにしミスの発生を抑制できることなどがあります。なかでも、評価や教務等に係る事務?業務をシステム化して、事務職員だけでなく教員の余力を生み出し、研究や教育に振り向けてもらうことが大学の力を上げることにもつながります。そのようにして生み出された成果を、ICT技術を活用して蓄積?分析し、さらに事業に反映させていくような循環を本学では目指しています。

働き方の点においては、テレワーク環境を整えたことが物理的?時間的な制約を取り払い、性別を問わず子育て世代の若手教職員への支援につながっていると言えます。ポストコロナにおいて学内の制度設計も必要となってきますが、本学が力を入れて取り組んでいる男女共同参画やダイバーシティ推進の活動にDXが加われば一層強みが増すことになります。

現在はできることを少しずつ進めており、次々と持ち上がる新たな課題?難題に教職協働で向き合っているところです。そして、DXで何よりも必要なのは、教職員?学生が一丸となってこれまでの固定観念を変えること、つまり「思考のトランスフォーメーション」です。これを実現するため、本学ではDXを推進してまいります。

【奈良女子大学DX推進循環図】DX推進チームを中心に、研究(Plan)で知の循環のためのデジタル研究環境、地域?国際情報ネットワークの構築、知的コンテンツの公開。管理運営(Do, Check)で業務効率化?働き方改革の推移。教育(Action)で初等中等教育現場との連携強化、学修者一人ひとりのニーズに合った高い質の学びを行っていく。