平成26年度奈良女子大学卒業式並びに学位記授与式 学長式辞

 

 文学部190名、理学部182名、生活環境学部158名、合計530名の学部卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。名誉教授の先生方、佐保会理事長、奈良佐保短期大学長、放送大学奈良学習センター所長、育友会会長にはご臨席を賜りまことにありがとうございます。奈良女子大学の教職員一同は、ご来賓の方々と共に、皆さん、本日ご同伴されましたご家族の方々、また各地で本日のご卒業をお喜びのご親族の方々に、心よりお祝いを申し上げます。
 ご卒業は、皆様の人生において幾つかある節目の一つです。節目に当たって二つお願いがあります。
まず、ご両親あるいは皆さんを支えてくれた方に「ありがとうございました、おかげで無事卒業することができました。」と感謝の言葉を伝えてください。この言葉は、経済的支援だけでなく、皆さんが無事でいて欲しいとの祈りの気持ちに対しての返礼になります。是非口に出して伝えてください。4年前の3月11日に
東日本大震災が発生しました。20年前の1月17日に阪神・淡路大震災が発生しました。無事であることは実は大変な事なのです。
 節目に当たってもう一つのお願いですが、自己分析を行ってください。4年間、編入学の皆さんは2年間ですが、成長しましたか。知識のことと、自立する力に分けて分析してください。知識は高校レベルとどれだけ違うかで判定できるでしょう。自立する力は、判定が難しいものです。他人の言葉を素直に聞くこと、自分の信念に誠実であること、この二つを両立させることが必要です。つまり、自分の考えを整理して、言葉で他人に伝える能力ですが、上達しましたか。

 さて、ご卒業後はさらに大学院へ進学する皆さんと社会人になる皆さんがいるでしょう。学生と社会人との間には大きなギャップがあります。学生はお金を払う「お客さま」ですが、社会人はその活動でお金をいただく立場になります。そこで日々発生するのが大量の「ストレス」です。社会人になるとまず「ストレスと付き合う方法」をマスターする必要があります。そしてよりロングスパンでの人生設計も必要になります。「ワーク・ライフバランス」つまり、結婚・出産・育児と仕事とのバランスを考えなくてはいけません。怖がらないでください。誰もが通る道ですし、皆さんはこれからで、無限の可能性という若者の特権をお持ちなのです。
 せっかく奈良とご縁があったのですから、是非学生時代の良き思い出を、生涯の宝物としてお持ちください。奈良は古都ですので多くの文化遺産があります。千年以上前の首都で、人々は幸せを願い多くの仏像を造りました。皆さんは仏像のように「深く着実に考える」ことで幸せを紡ぐことのできるリーダーの卵です。この豊かな環境の中で、人が幸せであることについて誠実に考えてきた証を社会で発揮してください。

  私たち教職員は、皆さんの成長が喜びです。尊敬と信頼に耐える社会人となれるよう自己を鍛錬してきた実力を、全国に持ち帰って思う存分発揮してください。
  最後になりますが、皆さまの輝かしい未来を祈念してお祝いの言葉といたします。

平成27年3月24日 奈良女子大学長 今岡春樹



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