平成25年度奈良女子大学卒業式並びに学位記授与式 学長式辞

 

 文学部173名、理学部194名、生活環境学部147名、合計514名の学部卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。名誉教授の先生方、佐保会理事長、佐保短期大学長、放送大学所長、育友会会長にはご臨席を賜りまことにありがとうございます。奈良女子大学の教職員一同は、ご来賓の方々と共に、皆さん、本日ご同伴されましたご家族の方々、また各地で本日のご卒業をお喜びのご親族の方々に、心よりお祝いを申し上げます。
 ご卒業は、皆様の人生において幾つかある節目の一つです。節目に当たって二つお願いがあります。まず、ご両親あるいは皆さんを支えてくれた方に「ありがとうございました、おかげで卒業することができました。」と感謝の言葉を伝えてください。この言葉は、経済的支援だけでなく、皆さんが無事でいて、勉学に励んで欲しいとの祈りの気持ちに対しての返礼になります。是非口に出して伝えてください。
 節目に当たってもう一つのお願いですが、自己分析を行ってください。4年間、編入学の皆さんは2年間ですが、成長しましたか。知識のことと、自立する力に分けて分析してください。知識は高校レベルとどれだけ違うかで判定できるでしょう。自立する力は、実は自分のプライドとの格闘を経て得られるものです。他人の言葉を素直に聞くこと、自分の信念に誠実であること、この二つを両立させることが必要です。

 さて、ご卒業後はさらに大学院へ進学する皆さんと社会人になる皆さんがいるでしょう。学生と社会人との間には大きなギャップがあります。学生はお金を払う「お客さま」ですが、社会人はその活動でお金をいただく立場になります。そして、多くの同僚と共同作業をします。今まではお客さまで、就職活動などライバルと競争してきましたね。それが今後は、ライバルと共同でお金を稼ぐ立場に変わります。そこで発生するのが大量の「ストレス」です。社会人になるとまず「ストレスと付き合う方法」をマスターする必要があります。また、ストレスは日々の生活で生じますが、よりロングスパンでの人生設計も必要になります。「ワーク・ライフバランス」つまり、結婚・出産・育児と仕事とのバランスを考えなくてはいけません。怖がらないでください。誰もが通る道ですし、皆さんはこれからの人で、無限の可能性があるという若者の特権をお持ちなのです。
 せっかく奈良とご縁があったのですから、是非学生時代の良き思い出を、生涯の宝物としてお持ちください。皆さんは、コンパクトな卒業証書・学位記を授与される初めての卒業生です。31年も続いたテレビ番組「笑っていいとも」が終了するのと同時に、ご卒業です。これらとセットで奈良と友人を記憶してください。奈良は古い都ですので多くの文化遺産があります。千年以上前ですが、人々は幸せを願い多くの仏像を造りました。皆さんは仏像のように「深く着実に考える」ことで幸せを作り出すことのできるリーダーの卵です。この奈良という豊かな環境の中で、人が幸せであることについて誠実に考えてきた証を社会で発揮してください。
 私たち教職員は、皆さんの成長が喜びです。尊敬と信頼に耐える社会人となれるよう自己を鍛錬してきた皆さんの実力を、全国に持ち帰ってください。
 最後になりますが、皆さまの輝かしい未来を祈念してお祝いの言葉といたします。

平成26年3月24日 奈良女子大学長 今岡春樹



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